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Stripe 日本法人で働き二年 - 7 つの思い出

Advent calendar シーズン(Stripe Advent Calendar 2018 - Adventar)ということで、中の人も書くのが Stripe!その流れで Day 24 向けの記事でございます。

 

私が Stripe へ入社したのが2016年10月。5人目の日本法人社員でした。そして、早くも二年が経ちました。これを機に、色々と思ったことを 7 つにまとめて書いてみたいと思います。書いていたら長くなってしまいましたが、読んでいただけたら嬉しいです。(全然退職エントリーとかではありません)

0. 入社前の周囲の反応 4 種類

 Stripe へ入社する前は、マイクロソフトで1年数ヶ月働いていました。周囲には辞めるということが決まってから、徐々に転職することを伝え始めると、4つの反応がありました。まず3つ。

  • スタートアップ界隈にいる人は、
    「おーー、スタートアップいいね!」
  • とりあえず批判して謎のアドバイスをしてくる人
    「石の上にも三年」「なんでマイクロソフトやめて、誰も知らない信用ない会社に行くの、絶対やめたほうがいい」とまで行ってくる人もちらほら
  • 無関心な人
    「転職回数多いね」

という感じで、結構ネガティブな反応も多かったです。特に、辞めるのが早すぎるという意見を多くいただきました。最後に、4つ目の反応は、最も私が信頼する人たちからのものです。

  • かなり具体的に聞いてから反応する人
    「なぜ転職するの?」「どんな会社なの?」「ビジネスは?」「人は?」「子供産まれるけど家族との時間取れるの?」「英語使える?」「出張は多くなるの?」「どんな職種?」「マーケからサポートへなんで戻るの?」「日本支社何人くらいいるの」

 などなど、反応する前にかなり具体的に質問をしてから、反応をする人がいて、このタイプの方々はかなり応援してくれます。特に、自分のメンター(アメリカ人)はたくさん聞いてくれました。

ここからの学びは、人の選択の背景には色々あって聞いてくれるだけでも嬉しいこと、人の選択にいちいち批判してくる人の意見やアドバイスにはいらつくだけで、心は微塵も動かない不要なアドバイスがこの世には存在するということです。私は私なりの強い思いがあって、Stripe を選択しました。良い選択だったと今も思います。マイクロソフトの近くにいたマーケティングチームやエバンジェリストの諸先輩方々はみな応援してくれました外資系の人の転職は、みなおめでとう、Good luck。って言ってくれるから好きです。

1.ローンチイベントに参加するという貴重なスタート

さて、本題です。

なかなか会社やサービスの正式ローンチのタイミングを経験することはできないのではないでしょうか。私が入社したのは2016年10月。そして、Stripe が日本で正式ローンチしたのも2016年10月。このローンチに合わせてイベントへ Stripe のメンバーとして参加したのですが、とても貴重なタイミングだった思います。正式入社はまだしていなかったので、リリースイベントの準備には一切関係してはいませんが、その場にいることができ、とても興奮したのを今でも覚えています。

www.facebook.com

 

すでに、ベータで製品を利用いただいたので、既存のユーザさんなどを集めてのイベントもやり色々な方々とつながることができたイベントです。  

 

2. 入社早々育休をかます

個人的な思い出は、「入社する前から私は父になるので、それでも大丈夫か?」とさんざん確認して入社。スタートアップでも本当にワークライフをブレンド・バランスできるのかも一つの挑戦です。入社して2ヶ月以内で、まもなく育休開始!周りの寛大なるサポートを得て、なんとか始まりました。その時のメンバーには特に感謝しかないです。ちょうど息子が産まれたときに、全体会議がサンフランシスコで行われていましたが、私は育休のため不参加でした。

入社して二ヶ月もしてないのに、育休取らせてくれるって聞いてはいましたが、本当に取らせてもらえて感謝です。自分もそういうチームを作っていきたいなとエンゲージメントがあがりました。

3. 決済業界の奥深さを感じる

入社してからトレーニングがあり実際にサポートチームへ入ると、この業界奥が深い。。。ひたすらに。。。と毎日思いました。決済業界のバックグラウンドも API の経験もなかったので、クレジットカード決済という業界や構造そのものと、Stripe の API を理解しながら進めます。

オーソリ、セトルメント、イシュアー、アクワイアラ、BIN、ブランドルール、チャージバックなどなど本当に毎日覚えることが多く刺激的な毎日でした。サポートしているとこんなことオンラインビジネスをする企業自身が考えていたら、ビジネスに集中できないなというのを痛感し、自分たちのいる会社の意味を理解することができるようにもなりました。

決済業界全体を見てみると、デジタルウォレット、QR コード決済、後払いなどの消費者から見える世界。割販法、API、決済代行もろもろなどなど見えない世界。システムまで及ぶと果てしないブラックホール。それでも、自分の興味や知識範囲がかなり広がって来て毎日アンテナを広く立てていられるし、いわゆる FinTech というかなりホットな業界にいることができていて、成長業界だなと実感します。

4. 日本にいる「日本語サポート」の重要さ痛感

日々サポートをしていての気づきは、日本のお客さまからの信用を得るのは簡単ではないなと思うことです。

「日本に人はいますか?」「日本語でお問い合わせしてもいいですか?」などなど、そもそも日本でのビジネスの実態に関するお問い合わせもいただくことが多く、信用されるって難しいなと思っています。

qiita.com

 

この記事を書き始めて本当に良かったと思っています。最初は製品ベンダーのものが Qiita に記事を書いても受け入れらるのか、若干の迷う気持ちはあったものの、これはローカライズではなく解説記事、という立ち位置で書いている点がうまくいったのかなと思っています。

 

この記事から、日本に人がいる、日本人がいる、日本語大丈夫な人が Stripe にもいるんだと多くの人に知ってもらういい機会となりました。何より、書くことで自分の知識も上がりました。

 

5. #JP_Stripes ユーザコミュニティのありがたさ

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なんと言ってもこれでしょう。ここ2年もっとも印象的なことといえば、日本のユーザコミュニティ #JP_Stripes です。最初は、Stripe といえばファッションの会社と、まさにその通りなのですが、全く日本では決済の Stripe という認知はされておりませんでした。しかし、最近はエンジニア界隈を中心に少しずつ認知度も上がってきているのを実感します。この大部分は JP_Stripes のおかげだと言っても過言ではないでしょう。

eventregist.com

AWS の小島さん(MS のデベロッパマーケティングから見たらまさに相対していた方笑) と Stripe がひょんなご縁でつながり、一緒にコミュニティを作っていくことに。コミュニティを 0 から作っていくのを間近で見て、サポートできるのはとても学びがあります。

 

JP_Stripes はユーザさん自身の場です。積極的な参加と自走を促しつつ、適宜サポートできるようにしています。参加される方からのブログやスライドなどのコンテンツの量がかなり多く、そこから多くのことを知ることができます。特に、開発者が利用する B2B 製品とユーザコミュニティは相性がよく、みなさん自身で学び合える場が素晴らしいです。


製品を提供しているものとすると、ユーザさんにはできるだけ苦労はかけたくないのですが、それなりにつまずいてしまうポイントなどもあります。それらを含めて良い点、改善点がシェアされていて、とても健全で前向きな場となっていて、とても嬉しいです。

 

また、サポートメンバーはあまり表に出ない人が多いと思うのですが、私はサポートにいる人こそコミュニティへ出ていったほうが良いと思います。その場の Q and A はぶっちゃけ答えられなかったらどうしようとかドキドキですが、そんなことよりも多くのユーザさんの声をしっかり聞くこと、また質問をその場で受け入れることで、新たな示唆を得ることができます。サポートという立場は、ユーザコミュニティではある種、得な役割で動けるので、Stripe にかかわらず、製品のユーザコミュニティを持っている会社には、サポートメンバーの参加を強くおすすめします。

 

私もときどき登壇したり、海外オフィスのメンバーを登壇させてもらったりしていて、できるだけコミュニティが盛り上がるように、サポートをしていきたいと思います。

 

来年は、3 月にユーザコミュニティ全国大会開催!で、盛り上げていきたいと思います。

 

日々ユーザの皆さんとこれからユーザになってくれる方々と切磋琢磨しながら、オンラインビジネスの成長を目指していきたいと思っています。

 

6. 黒船って言われたくない

たまに、メディアにて黒船到来と言われるのですが、はっきり言ってまったくそんなこと思ってないので、黒船って言われたくないと思っています。

Stripe は、日本のオンラインビジネスの成長を期待し、この市場でビジネスをしているので、大企業からスタートアップ、はたまた個人の方々までしっかりサポートして、新たなビジネスや既存のビジネスの成長を支えています。日本では今まで、ここまでのスピードでできなかった、オンラインビジネスの展開をサポートしているので、日本という国自体にもささやかながら貢献していきたいと思っています。

 

黒船ではなく黒子(API)です。

 

7. シリコンバレーテック企業の日本法人成長期で働ける幸せ

最後にこれは書いておきたいと思います。思い出というか振り返ると感じることです。

シリコンバレーのテック企業の中でもかなり成長を期待されている Stripe で働けることは大きな幸せです。ユニコーン企業(今となっては企業規模が200億ドルなのでデカコーン)の日本法人の成長を自分たちの手で進めていると、実感できることはなかなか貴重だと思います。

www.ifinance.ne.jp

 

・日々ユーザさんが増えていくこと

・問い合わせの多くを自分で返していたこと

・かなり面白くユニークな人と一緒に働けること

・組織の拡大を自分たちで行っていること

マーケティング組織がない中で自分一人目で立ち上げること

・スケールさせるとはどういうことかを毎日考えられること

・資金調達の桁が凄まじいこと

・海外展開のスピードも凄まじいこと

・オフィスがワンルームから、新築ビルのワンフロアへ行けたこと

シリコンバレーのテック企業のような快適オフィスで働けること

・日本語、英語が半分半分くらいなこと

 

こんなことを経験できることはなかなか無いと思うので、貴重な経験をしっかりと活かして行きたいと思います。

 

そんなこんなで 7 つの思い出をざっくばらんに書いてみました。これからもしっかり地に足つけて、頑張りたいと思います。